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【12,800円】Ultrasone Signature FUSION Open Backのレビューと、Bose好きによるEQ設定

先日、サウンドハウスでUltrasoneの「Signature FUSION Open Back」が12,800円という衝撃的な価格で売られているのを発見しました。

定価の55,000円から計算すると、実に76%オフ。かつてハイエンド市場を席巻したドイツの名門ブランドが、なぜこれほどの価格で……?という困惑もありましたが、その安さに抗えず、気付けば注文ボタンを押していました。

普段はBoseの「大衆的なサウンド」に慣れ親しんでいる私にとって、この「独創的な名門」はどう映るのか。実際に使ってみて感じた手触りと、私なりのEQ(イコライザー)設定をシンプルにまとめます。

目次

外観

Signature FUSION Open Backは、ドイツの自社工場によるハンドクラフト。 Apple製品に代表される「完璧にコントロールされた精緻な工業製品」を見慣れた目には、正直に言えば、最初こそ少し「雑」な作りに見えてしまいました。

しかし、毎日手に取って触れているうちに、その印象は少しずつ変わっていきました。それは単なる粗さではなく、作り手の体温を感じさせる「手仕事の上質感」なのだと、じわじわと腑に落ちるようになってきたから不思議です。

樹脂製のヒンジ部は、補強リブが剥き出しの「おもちゃ」のような質感。5万円超の製品としては正直戸惑いますが、実はUltrasoneが長年使い続けてきた「伝統の金型」でもあります。

実用性と堅牢性を最優先した道具としての割り切り。見た目のチープさと裏腹な「タフな設計思想」に、このブランドのリアルが透けて見えます。

イヤーカップに輝くロゴプレート。実物はひんやりとした金メッキのメタル製で、写真の印象よりもカッコよく見えます。

また、イヤーカップの一部にシープスキンレザーがあしらわれていたり…。

ヘッドバンドの肌に触れる部分には通気性の良いメッシュ素材を採用していたりと、細部の細やかな工夫が見えます。

一つひとつ手作業で組み上げられた「道具」としての温かさに触れるうち、自然と愛着が湧いてくるのを感じます。

付属品も実に質実剛健です。1.4mの4.4mmバランスケーブル、1.2mの3.5mmミニプラグ、そして3mの標準プラグ。これら3本のケーブルが、堅牢なハードケースに収められた状態で手元に届きます。

装着感

Signature FUSION Open Backは重量290gと数値上はそこそこ重いのですが、装着すると驚くほど重さを感じません。

ヘッドバンドの工夫: 頭頂部の窪みが圧を逃がしてくれる。 総じて、長時間のリスニングでも非常に快適です。

開放型×ベロア素材: 蒸れとは無縁。

新品でも側圧はそれほど強くないですし、他のヘッドホンと比べても装着感は確実に良い方だと言えると思います。

音質

結論から言うと、デフォルトの音は私の好みとは少し異なりました。

高い解像感とモニター性能

非常に高性能なヘッドホンであることは間違いありません。解像感が高く、ミックス作業でエフェクトの微細な変化をチェックするような用途には最適だと感じます。

リスニングにおける違和感

ただ、純粋に音楽を楽しもうとすると、少し物足りなさが目立ちます。

高域: 響きが少なくドライな質感

低域: 沈み込むようなサブベースが弱く、その上の帯域のアタック感が際立つ

そのため、音楽の世界に没入するというよりは、どこか客観的に音を眺めてしまう感覚があります。

設計の意図と相性

これは「高い解像感」と「長時間使えるバランス」を両立させるための、モニター・リスニング兼用モデルゆえの音作りなのでしょう。

しかし、普段からBose UltraやAirPods Pro 3のような「深い低音と空間の広がり」を好む私にとっては、そのままだと少し素っ気なく感じてしまいました。

EQ設定:自分好みに仕立てる

そこでイコライザで調整を施したところ、このヘッドホンの真価が見えました。

帯域調整内容狙い
超低域 (30Hz – 60Hz)+3dB 〜 +5dB開放型の性質上、抜けてしまっているサブベースを補強。重心を下げます。
中低域 (150Hz – 300Hz)-2dB 〜 -4dB膨らんでいるミッドバスを削り、音の濁りを消してスッキリさせ、強すぎるアタック感を少し弱めます。
超高域 (10kHz以上)+2dB 〜 +4dB吸音材を張り巡らせたような「デッドすぎる」空間に空気感を足し、開放型らしい抜けを作ります。

不足していた低域を補い、全体のバランスを整えると、いつも聴いている「ハーマンターゲットっぽいサウンド」に化けます。

それでいて、Signature FUSION Open Back自体の基礎体力が非常に高いため、音の生々しさや情報量は愛用中のワイヤレスのものとは別物。

ポテンシャルを自分好みの方向に引き出す楽しさがある、非常に懐の深いユニットです。

ちなみにスピーカーで聴いているような自然な音とメーカーが謳うS-Logic 3の効果については、私はよく分かりませんでした。普通のヘッドホン同様に頭内定位する、という印象です。AirPods Pro 3の空間オーディオの方が圧倒的に立体的です。

さいごに

初めてのUltrasoneでしたが、実に面白い経験でした。

現代の主流とは一線を画すサウンドや、この価格帯でもドイツでのハンドメイドを守り続けるこだわりには、今なお色褪せない名門の意地を感じます。

ただ、その独特な販売戦略には少し驚かされました。発売直後の華やかなプロモーションから一転しての今回のような76%の大幅な値引きと、生鮮食品並みのプロダクト寿命……。それは、特定の層に深く刺さる価値を提供し続けるための、このブランドなりの「生存戦略」なのでしょうか。

良い製品だからこそ、その「売り方」のクセの強さも含めて、Ultrasoneというブランドが持つ奥深さを見た思いです。

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