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【レビュー】Bose QC Ultra ヘッドホン × BTD 700 ドングル:「あの地獄のボタン」から解放されたくて導入した結果、別の地獄を見た話

Bose QuietComfort Ultra Headphones、愛用していますか? 私は毎日使っています。装着感もノイキャンも最高で、もう手放せない相棒です。

さて、今回はこのQC Ultraの「真の力」を引き出すために、SennheiserのBluetoothトランスミッター「BTD 700」を導入してみました。

一般的には「aptX Losslessで高音質化!」というのが導入のメリットとされていますが、私の目的はそこではありません。 Macユーザーとして、Boseユーザーとして、どうしても解決したい「ストレス」があったからです。

結論から言うと、「狙い通りストレスは消えた。でも、実用面でそれ以上の地獄が待っていて、結局使うのをやめた」というお話です。

もし同じような悩みを抱えてドングル導入を検討している方がいたら、私の失敗談(?)が参考になれば幸いです。

目次

導入の動機:AirPods Maxの亡霊を追って

なぜ私がわざわざドングルなんてものを導入しようと思ったのか。 その根本には、以前使っていたAirPods Maxの記憶があります。

AirPods Maxは、重いしケースは変だしと言われますが、「使い勝手」に関しては神がかっていました。 電源ボタンすらない潔さ。頭から外せばスリープし、装着すれば瞬時に繋がる。Appleのエコシステムの中で、意識せずに使えるあの「透明な快適さ」。

あの感覚が脳裏に焼き付いているからこそ、Bose QC Ultraを使った時にどうしても許せない部分が出てきてしまうのです。

「なんとかしてBoseを、AirPods Maxのような『何も考えずに使えるヘッドホン』に近づけたい」

「ちゃんと眠らせたい」切実な理由

具体的に、私がBose QC Ultraで許せなかった(AirPods Maxに近づけたかった)のは以下の2点です。

1. 勝手に電池が減る問題

Macの内蔵Bluetooth接続だと、スリープ運用が本当に不安定です。ヘッドホンを外して机に置いておくと、Macがスリープから復帰するタイミングなどでヘッドホンも勝手に叩き起こされ、気づけば電池切れになっています。 AirPods Maxならありえない挙動です。

2. 電源ボタンが「地獄の仕様」

「なら、使い終わったら手動で電源を切ればいいじゃないか」と思いますよね? でも、Bose QC Ultraユーザーなら分かるはずです。あの電源ボタンがいかに使いにくいかを。

  • 短押し: Bluetoothデバイスの切り替え
  • 2秒長押し: 電源オフ
  • それ以上長押し: ペアリングモード

この「2秒」の判定がシビアすぎます。少しでも短いと接続先が勝手に切り替わり、長すぎるとペアリング待機音が鳴り響く。 電源を切りたいだけなのに、毎回スナイパーのような精密操作を要求されるのが本当にストレスでした。

「ボタンなんて触りたくない。外したら勝手に寝てくれ」

そう願って目をつけたのがBTD 700です。 これを使えば、Macからは「Bluetooth機器」ではなく「USBオーディオデバイス」として認識されます。これならMacが余計なBluetoothのハンドシェイクを行わないため、ヘッドホンのオートスリープが正常に機能するはずだと踏んだのです。

BTD 700導入で起きた「素晴らしい変化」

読み通り、この作戦は大成功でした。

BTD 700経由にすると、ヘッドホンを外して一定時間経てばカチッとスリープに入り、Macを使っても勝手に起きることはありません。 AirPods Maxのように…とまではいきませんが、「使いたい時にバッテリーが残っている」という当たり前の運用ができるようになりました。

おまけに、音質も良くなります。 aptX Lossless接続になるため、Mac標準のAACに比べて音の密度がグッと上がり、全体的に非常にクリーンになります。特にわかりやすいのが「余韻」で、リバーブの消え際などが繊細に表現されるようになり、空間の広がりを感じやすくなります。

「ストレスフリーな運用 + 音質アップ」。 最初は「これぞ最適解だ!」と喜んでいました。

…そう、実際に動画を見るまでは。

それでも使用をやめた3つの「致命的な」理由

スリープ問題は解決し、音も良くなった。なのに、なぜ私は結局Mac内蔵Bluetooth(AAC)に戻したのか。 それは、日常使いにおいて**「新たなストレスがメリットを上回った」**からです。正直、これらはスペック表を見ているだけでは気づかない落とし穴でした。

1. 動画視聴がしんどい「遅延」問題

これが結構キツイです。aptX Lossless接続だと、体感で300ms(0.3秒)くらいの遅延が発生します。

「Mac内蔵Bluetoothでも遅延はあるでしょ?」と思われるかもしれませんが、実はMac(macOS)は内蔵Bluetooth接続時、YouTubeなどの動画再生に対して自動的に映像と音のズレを補正する「リップシンク機能」が働いています。

しかし、BTD 700を使うと「外部USBオーディオ」扱いになるため、このOS側の補正が効きません。 結果、YouTubeや映画を見ていると、口の動きと声がワンテンポずれます。これが思った以上に不快で、動画視聴には耐えられませんでした。

2. 低遅延モードにすると「音飛び」する

「なら低遅延モードにすればいい」と思いますよね。 BTD 700にはボタン一つで切り替えられるモード(aptX Adaptive Low Latency)があるのですが、私の環境でこれを使うと、今度は頻繁に音飛び(スタッター)が発生しました。

遅延を取るか、音飛びを取るか。究極の選択を迫られます。

3. 【最大の欠点】耳が壊れそうになる「爆音」仕様

個人的に使用中止の決め手になったのがこれ。音量の最小値が大きすぎます。

Mac側の音量を最小(メモリ1)にしても、すでにかなりの大音量。「爆音」と言ってもいいレベルです。数値を10%くらいにしてようやく聴けるレベル。

さらに怖いのが、Bose QC Ultraの特徴である「音量調節タッチスライダー」です。 ヘッドホンの位置を直そうとしてうっかりスライダーに触れてしまい、音量がグッと上がった瞬間、鼓膜が破れるかと思うほどの轟音が鳴り響きました。

リラックスするための道具なのに、「いつ爆音になるかわからない」と常に身構えなければならないのは、本末転倒でした。

「良い音」と「音楽を楽しむ」ことの違い

BTD 700を使って気づいたのは、「音質のスペックアップ」と「音楽体験の向上」は必ずしもイコールではないということです。

確かにaptX Losslessの音はリッチで情報量が多いです。 しかし、Mac標準のAAC接続に戻してみると、音の情報が良い意味で整理され、ミニマルになっています。解像度は落ちているはずなのに、聴きやすく、長時間聴いていても全く聴き疲れしません。

個人的には、「自分で録音してミックスのチェックをするなら、有線ヘッドホンやスピーカーで24bit/96kHz環境を使う」というスタンスです。

ワイヤレスヘッドホンに求めるのは、厳密な音のチェックではなく、日々の生活の中で音楽を楽しむ「快適さ」や「没入感」です。その点において、不安定さや爆音リスクを抱えてまでロスレス化する必要性を、私は感じませんでした。

さいごに:そして、新たな地獄へ…?

というわけで、私はBTD 700を使うのをやめ、Mac内蔵BluetoothでのAAC接続に戻ってきました。

「遅延なし・適正音量・安定接続」という当たり前の快適さを取り戻したわけですが、一つだけ解決していない問題があります。

そう、「あの地獄の電源ボタン」です。 ドングルが使えない以上、私はこれからも毎日、AirPods Maxの快適な幻影を追いかけながら、スナイパーのような集中力であのボタンを長押しし続けなければならないのか…。

そのストレスに耐えきれず、気がついたらポチっていました。

Bose QuietComfort Ultra Headphones (Gen 2)。

「周辺機器でダメなら、本体ごと買い替えればいいじゃない」という、最もお金のかかる解決策を選んでしまいました。

しかし、ただの散財ではありません。Gen 2を買った最大の理由、それは「もう二度と電源ボタンを押さなくていい仕様」に進化しているらしいからです。

情報によると、Gen 2はモーションセンサーが強化されており、

  • 机に伏せて置くと、たった3秒でスリープ
  • 使わない状態でも10分で自動スリープ

という、まさに私が夢見ていた「AirPods Max的な挙動」を手に入れているとのこと。 これが本当なら、あの神経を使うボタン操作から永遠に解放されることになります。期待しかありません。

果たして第2世代は私の救世主となるのか? それとも、また別の不満が出てくる「新たな地獄」の始まりなのか?

届き次第、またこのブログで人柱報告をしたいと思います。 沼はまだまだ深そうです。

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